電子ピアノ 買取 静岡が受け入れられる社会
資本市場は投資の正確な尺度を失い、金融のグローバル化にも歯止めがかかることになる。
2007年6月、米格付け会社MとS&PがRMBS、CDOを格下げした。
Mが格下げしたRMBSだけで大規模なもので、格付け会社を信じてRMBSを買っていた投資家は、投資の見直しを余儀なくされた。
市場では格付けへの不信感が高まっていった。
噴出した不信は2つあった。
ひとつは格付けの甘きだった。
サブプライムローンは信用力の低い個人向けで、普通ならそれを裏付けにした証券化商品は、投資適格かどうかすら疑わしい。
にもかかわらず、サブプライムローンを担保にしたRMBSのおよそ7割が最上級のトリプルAだった。
格付け会社は、多くのローンで構成するプールが裏付けになっているため分散効果でリスクは低くなるなどと説明したが、投資家は納得しなかった。
もうひとつは格下げの遅れだった。
カリフォルニア州で住宅価格が下がり始めたのは夏。
サブプライムローンを組み込んだRMBSの信用力に響くのは当然だったが、格下げは住宅価格下落から1年も遅れ、しかも一度に大量の銘柄が対象になった。
不信の目は、格付け会社のあり方に向けられた。
格付け会社には公平な格付けが期待されているが、収入は格付けをする会社からの手数料である。
利益をもたらしてくれる会社に厳しい格付けができるのか、利益相反が疑われた。
格付け会社によっては財務コンサルティングも実施し、トリプルAを取るための助言までしている。
格付け会社は株式会社で、利益追求が目的だ。
爆発的に増える証券化商品の格付けは利益を伸ばす好機となり、証券化格付けに力を入れた。
ところが複雑な証券化の格付けノウハウを備えた人が、爆発的に増えるわけではない。
少ない人数で格付けをすれば、格付け会社の利益は増えるが、格付け変更のタイミングが遅れる可能性がある。
収益優先が格付けの質の低下を招いたのではないか、との疑念も持たれた。
不信が決定的になったのは8月だった。
S&Pは、スイスのH、A・GとロンドンのS・C・Pが発行するMBSの債務格付けを、最上級のトリプルAからトリプルCに口段階も引き下げた。
通常、格付けは財務内容や金融経済環境を映しながら1、2段階ずつ変更する。
不良債権の飛ばしなどの不正行為が発覚すれば数段階格下げすることもあるが、最上級からジヤンクに格下げする例は前代未開だった。
投資家から見ると格付けには多くの段階があり、その変化を見ながら証券を売ったり買ったりできた。
トリプルAの銘柄を、格下げでダブルAになったら売ろうと考えている投資家も少なくない。
ところが一気に口段階も下がると、売りたくても売れなくなる。
流動性のリスクを回避する目安としての格付けの意味がなくなった。
格付け不信は、9月日日のR破綻で一段と高まった。
RはCPを発行しており、そのCPはMとS&Pから短期で最上級の格付けを得ていた。
そのCPがデフォルトを起した。
投資家は、期間1年未満の短期の格付けを、長期債務格付けに比べると信用力の判定のしやすいものと見ている。
短期で最上級の格付けを持った会社の債務がデフォルトを起こすのは、信じられないことだった。
しかも、RのCPを保有していたMMFが、デフォルトの影響で元本割れを起こした。
MMFは日本でいえば銀行の普通預金にあたり、元本割れは極めて希なだけに、国民に大きな不安を与えた。
その一因を作った格付けのあり方が厳しく問われるのも、当然といえる。
もうひとつ衝撃的な出来事が続いた。
Mが前年4月までトリプルAの格付けを与えていたアイスランドの最大手銀行、Kの円建て外債(サムライ債)がデフォルトを起こした。
最も伝統的な長期債務格付けの最上級格付けも、本当に信用できるのかどうかが問われることになった。
長期債務格付けは通常、数年先までの信用力を勘案する。
数年のあいだには経済情勢の大きな変化も起こり得るので、短期格付けより予測は難しい。
最上級のトリプルAは相当程度の環境変化を見込んでも、それに十分耐えて元利払いを続けられる債券に付与されているはずだ。
実際、1990年代初めまでトリプルAだった日本長期信用銀行が路年に経営破綻した際、格付け会社は「トリプルAが数年で破綻するのは希で、われわれにとっては恥じだ」とまでいい放った。
しかし今回は数年どころか、わずか1年余でトリプルAの銘柄でデフォルトが起きたことにより、格付け会社の水準が落ちたのではないかと疑われた。
証券化格付けは急成長した新しい分野で、そこでのミスはやむをえない面もあったのかもしれない。
しかし短期格付け、長期債務格付けは伝統的な格付けで、投資家の指針となってきた。
R・ショックでその正確さに疑問符が付いた。
資本市場を支える基盤のひとつである格付けへの信頼は、音を立てて崩れた。
格付けの起源は1909年にさかのぼる。
J・M氏が、鉄道会社が発行する債券の信用力を評価したのが初めだ。
その後、事業会社、地方公共団体などに格付けの対象を広げていった。
はじめのうちは、業界紙が証券のランキングを付け始めたようなものと受け取られた。
マスコミの一種としてスタートしたといえる。
格付けが市民権を得たきっかけは、大恐慌だ。
多くの企業が破綻したものの、格付けが高い企業ほど破綻は少なかった。
こうしたことを経て、格付けが債券投資の目安として投資家に受け入れられていく。
米国では格付けを始めたMと、その後設立されたS&Pが格付け会社として2強の地歩を固めていく。
欧米の資本市場では、社債などをめぐって「ラストS&P(最新のS&P格付け)は」「L・M(最新のMの格付け)は」との会話が日常的に交わされた。
しかし初年あたりから、格付けへの疑問が国際的に増えた。
S&PとMが共に米国の会社で、米企業に甘いと見られたからだ。
スイスの有力銀行、スイス・ユニオン銀行(UBS)のクレジット担当役員(邦銀の審査担当役員に相当)は、「格付け会社は露骨に米国企業を優先する。
欧州として中立的な立場で格付けが付けられる会社を設けるべきだ」と述べていた。
格付けへの不満を募らせていたのは欧州だけではなかった。
半ばになると日本経済は、相次ぐ景気対策に伴って財政が悪化。
しかも不良債権問題も浮上した。
それを受けMは、日本国債の格付けを最上級のトリプルAから格下げした。
最上級格付けは有力国の証でもあったが、格付け会社がそれを剥奪した。
そして危機の深刻化に応じて格下げを続け、2002年5月には最上級から6番目のA2まで落とした。
これはアフリカ南部のボツワナより低い水準で、失格のレッテルを貼られた格好の大蔵省は激怒した。
大蔵省の外郭機関である国際金融情報センターが、格付け会社の評価を実施する。
格付け会社のいいかげんさを実り出そうとする試みだった。
だが、当時は市場主義が全盛で、それを支える格付けを批判する日本の姿勢は、「後進性の表れ」(米系投資銀行の有力エコノミスト)と酷評された。
格付けに箔を付けたのは、パーセルI員会だった。
自己資本比率規制(パーゼルI)案を作ったパーセルIは、金融技術の進展に応じた新しい規制の導入を検討していた。
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